スーツ・ジャケット・パンツ・シャツ・肌着といった衣類、布団・シーツといった寝具、カバン、帽子、傘など、幅広い製品で使われている「ポリエステル生地」。
今やポリエステル生地を使った製品は私達の身近にあり、生活に欠かせない素材です。
私達の身近な製品で使われているポリエステル生地ですが、ポリエステル生地とはいったい何なのかご存知でしょうか?
普段から何気なく使っているポリエステル生地の「特徴」、「メリット」、「デメリット」について知らない人も多いです。
ビジネス・カジュアルの衣類で使われているポリエステル生地の特徴・メリット・デメリットを知ると生活、買い物、コーディネートの役に立ちます。
意外と知らない「ポリエステル生地」についてご紹介します。
1.ポリエステル生地とは?
多くの衣類・寝具の製品で使われる「ポリエステル生地」。
ポリエステル生地とは石油を原料として作られる合成繊維の生地のことです。
合成繊維とは化学繊維のなかでも石油など化学的に合成された原料のみから作られた繊維のことです。
合成繊維はポリエステル以外にもアクリル、ナイロン、ポリウレタンなどの種類があり、ポリエステル、アクリル、ナイロンは「三大合成繊維」と言われています。
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ポリエステルやアクリルの化学繊維のように人工的に作られたものに対して、ウール、コットン、リネン、シルクなどの繊維の形状が人口的に作られたものでない繊維は天然繊維と呼ばれています。
ポリエステルを含む合成繊維は衣類のおおよそ80%に使われていると言われるほど多くのメーカーで使用されています。
なかでもポリエステル、アクリルは使用量、生産量が多いのでビジネスウェア・カジュアルウェアと多くの人が何度も使ったことがあると思います。
ビジネスではスーツ・ジャケット・コート・スラックス・シャツ・肌着。
カジュアルではコート・セーター・シャツ・パンツなどに使われています。
ポリエステル生地はさまざまな衣類で使われるので特徴、メリット、デメリットを知っておくと日々の生活やコーディネートに役に立ちます。
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2.ポリエステル生地の特徴(メリット)
ポリエステル生地がさまざまな製品に使われるのはメリットのある特徴が多くあるためです。
◇ポリエステル生地の特徴(メリット)
①.耐久性に優れ虫食いに遭いにくい
②.お手入れが簡単・シワになりにくい・型崩れしにくい
③.汗を乾かす速乾性がある
④.軽い着心地
①.耐久性に優れ虫食いに遭いにくい
ポリエステル生地は耐久性がある生地のため非常に丈夫というメリットがありながら、薬品、カビ、害虫にも強いメリットがあります。
虫食いはポリエステルなどの化学繊維の生地よりもウール、コットン、シルクといった天然繊維の生地の方が虫食いの被害に遭いやすいです。
虫も上質な素材を好むためポリエステル生地含んだ生地よりもウール100%やカシミヤ100%の上質な生地を使った製品の方が虫食いの被害に遭いやすい傾向です。
ポリエステル生地は丈夫さ、虫食いの被害に遭いにくさから長持ちする、長く使えるメリットがあります。
②.お手入れが簡単・シワになりにくい・型崩れしにくい
ポリエステル生地は洗濯をしても傷みにくく型崩れしにくい、乾きやすいとお手入れ、保管が簡単なメリットのある生地です。
天然繊維のコットン生地などの衣類は洗濯するとシワになりやすくキッチリとしたアイロンが必要です。
ポリエステル生地の衣類はモノによってはアイロンが不要、軽いアイロンで済む場合が多いのでお手入れが簡単です。シワになりにくいので保管も楽です。
夏場のビジネスシーンではジャケットを手で持つことが多いので、シワになりにくいポリエステル生地のジャケットを一つ持っておくと持ち運びが楽です。
③.汗を乾かす速乾性がある
ポリエステル生地は汗を蒸発させる速乾性に優れているメリットがある生地です。
ポリエステルは独特の繊維形状と編み方によって毛細管現象を起こし優れた速乾性を発揮します。
毛細管現象は水分を布全体に広げることで水分を空気に触れる面積を増やし乾きやすくしています。
ポリエステルは速乾性、軽さ、耐久性の面からスポーツウェアにもよく使われており、ビジネスシーンでもスーツ、ジャケット、スラックス、肌着に多く使われています。
④.軽い着心地
ポリエステル生地を使った衣類は軽いというメリットがあります。
ポリエステルはナイロンやアクリルといった他の合成繊維と比べて特別軽いというわけではありませんが、天然繊維と比べると軽さがあります。
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3.ポリエステル生地の特徴(デメリット)
ポリエステル生地は多くのメリットがあるため、さまざまな製品で使われていますが、もちろんデメリットもあります。
◇ ポリエステル生地の特徴(デメリット)
①.静電気が起きやすい
②.毛玉ができやすい
③.暑く感じることがある
④.汚れが吸着しやすい
①.静電気が起きやすい
ポリエステルはマイナスの電気を帯びやすく帯電しやすい素材なので静電気が発生しやすいというデメリットがあります。
静電気はプラスの電気とマイナスの電気を持つ素材がこすれ合う摩擦によって発生します。
プラスの電気とプラスの電気、マイナスの電気とマイナスの電気といった同じ性質のものなら静電気は発生しにくいです。
プラスの電気を帯びやすいのはナイロン、ウール、シルクなど。
マイナスの電気はポリエステル、アクリル、リネン、コットンなど。
素材によって電気の帯び方が変わります。
ポリエステルは衣類の表地だけでなくスーツ、コートの裏地などにも使われることが多いです。
ポリエステルは静電気がたまりやすいので、裏地にポリエステルを使ったスーツ・コートにウールのセーターなどを合わせると「プラス電気のウール」と「マイナス電気のポリエステル」の摩擦によって静電気が発生しやすいです。
静電気を抑えるにはコーディネートの組み合わせが重要です。
ポリエステルと同じくスーツやコートの裏地に使われる素材で「キュプラ」があります。
キュプラは化学繊維であっても吸水性が高いので静電気がたまりにくいです。
静電気が気になる人は裏地にキュプラを使用しているスーツやコートがおすすめです。
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②.毛玉ができやすい
ポリエステル生地などの合成繊維は摩擦によって毛玉ができやすいというデメリットがあります。
日常生活での手や足の動き、洗濯によって生地の表面が擦れ合うことで繊維が起毛し絡み合い毛玉になってしまいます。
特に毛玉ができやすい部分は脇の下、袖の内側、背中、股下、お尻、太もも部分は擦れることが多いので毛玉ができやすい箇所です。
毛玉ができやすいのはポリエステル生地だけでなくアクリルなどの合成繊維は毛玉ができやすく、発生後もとれにくいです。
シルクやコットン、リネンなどの天然繊維は毛玉ができにくく、毛玉が出来ても自然にとれることもあります。
③.暑く感じることがある
ポリエステル生地を使った衣類は暑く感じるデメリットがあります。
ポリエステル生地は液体となった汗を素早く吸い取り乾かす吸水性と速乾性のメリットがありますが、体の湿気をとる吸湿性、通気性が良くないです。
吸湿性、通気性が良くないと汗や熱気が体と衣類の間に留まってしまい、暑く感じてしまいます。
現在ではさまざまなメーカーがポリエステル生地であっても通気性、吸湿性がある機能性生地を打ち出しています。
そのためポリエステルであっても涼しい生地もあります。
ポリエステル生地の衣類を夏場に着るなら機能性生地を使った衣類を選ぶことがおすすめです。
機能性でないポリエステル生地を使った衣類は暑く感じることがあります。
④.汚れが吸着しやすい
ポリエステル生地は汚れを吸着してシミになりやすいデメリットがあります。
ポリエステル生地のワイシャツなどは首回りや脇が「皮脂汚れ」、「タンパク質成分」によって黄ばむことや黒ずみができることがあります。
黄ばみや黒ずみだけでなく、汚れが吸着することで臭いの原因にもなります。
短時間しか着ていないので汚れていないだろうと洗わず放置しているとワイシャツであれば首元や脇に黄ばみ、黒ずみが発生し臭いの原因にもなってしまいます。
そのためこまめに清潔にすることが重要です。
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4.ポリエステルを混ぜる理由
ポリエステル生地はポリエステル100%の生地もあればウールやコットンといった天然繊維が混ぜた混紡(こんぼう)素材とさまざまな種類があります。
ウール生地やコットン生地にポリエステルを混ぜる理由としては生地に天然繊維ならではの良さとポリエステルの特徴を活かすためです。
ポリエステルを混ぜることによって生地の耐久性、速乾性、軽さ、伸縮性を上昇させる、値段を抑えるといったさまざまなメリットをもたらすことができます。
スーツであればウールにポリエステルを混紡させることでウールの良さを活かしながら耐久性、軽さ、価格を抑えるといったメリットをもたらすことができます。
ポリエステルを混ぜることでさまざま素材のデメリットを補うためにポリエステルが混ぜられています。
※もちろんポリエステルを混ぜることでデメリットも発生します。
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5.まとめ
ポリエステル生地は石油を原料として作られる合成繊維です。
ポリエステルはデメリットもありますが、メリットも多いのでビジネスシーンの衣類、カジュアルシーンでの衣類と幅広く使用されています。
ポリエステルは衣類だけでなく寝具などのさまざまな製品でも使用されています。
ポリエステルのメリットは軽くて丈夫、使いやすい、保管や手入れが手軽といった多くのメリットがあります。
デメリットとしては静電気、毛玉がおきやすく汚れが吸着しやすい、暑く感じるなどのマイナスな面があります。
全ての繊維はメリットもあれば当然デメリットもあるのでメリットだけの繊維はありません。
ポリエステル生地のメリット、デメリットを知ることで日々の生活や買い物、コーディネートの役に立ちます。
今回ご紹介した内容が皆様のお役に立てば幸いです。