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【アクリルとはどんな繊維・素材?】ファッション・生活に役立つメリット・デメリットの特徴をご紹介。

スーツ・ジャケット・パンツ・セーター・下着と幅広い製品で用いられている「アクリル繊維・素材」。

「アクリルとはいったいどんな繊維・素材なのか?」

「どんなメリット・デメリットの特徴があるのか?」

知らない人も多いです。

アクリル繊維は幅広い製品で使われ、ファストファッションの服からブランドの服まで多く使われているので特徴やメリット・デメリットを知っておくと生活や買い物の役に立ちます。

幅広いお店、服に使われるアクリル繊維・素材についてご紹介します。

 

1.アクリル繊維とは?

アクリル繊維とはウールに似た性質を持つ繊維の一つです。

繊維には主原料が天然素材を使った「天然繊維」と化学的に合成、加工して作った「化学繊維」に分けられます。

天然繊維は綿・麻の「植物繊維」、シルク、ウールなどの「動物繊維」の二つに分けられます。

化学繊維は原料、製造方法によって「合成繊維」、「再生繊維」、「半合成繊維」、「無機繊維」の4つに分けられます。

アクリル繊維・素材は化学繊維の合成繊維に分類されます。

合成繊維とは化学繊維のなかでも石油など化学的に合成された原料のみから作られた繊維のことです。

アクリルやポリエステルの化学繊維のように人工的に作られたものに対して、ウール、コットン、リネン、シルクなどの繊維の形状が人口的に作られたものでない繊維は「天然繊維」と呼ばれています。

アクリルは化学的、人工的にウールに似た性質を生み出している繊維・素材です。

合成繊維はさまざまな種類があり「ポリエステル」、「アクリル」、「ナイロン」は「三大合成繊維」と言われています。

なかでもアクリル繊維・素材は安価でウールに近い性質を持つことからセーターや靴下などのニット製品の代替え品として多く利用されています。

 

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2.アクリル繊維・素材のメリットとは?

アクリル繊維・素材には多くのメリットがあります。

 

◇メリット

①.ウールに似たふくらみのある柔らかい風合い

②.丈夫で長持ちする

 

①.ウールに似たふくらみのある柔らかい風合い

アクリル繊維・素材はウールに近いふくらみのある柔らかい風合いを持つ合成繊維でも珍しい特徴があるのがメリットです。

アクリル繊維・素材を使ったニット製品ではウールのようなふくらみのある風合いを生み出すために嵩をもたせるように加工したバルキー糸を使っています。

バルキー糸は収縮する繊維と収縮しない繊維を混紡した後、熱処理で収縮繊維を収縮させることで糸の中に多くの空気を含むように加工しウールのようなふくらみのある風合いを演出しています。

空気を多く含むため暖かい空気や体から発する蒸気を外に逃しにくい構造になっているのでウールのような風合いに保温性が高いのも特徴の一つです。

 

②.丈夫で長持ちする

アクリル繊維はウールに近い性質を持ちながらも合成繊維ならではの耐久性があり、虫食いの被害にも逢いにくい特徴をもつ長持ちしやすいメリットがあります。

天然繊維のウールは耐久性が低いというわけではありませんが、合成繊維のアクリル繊維の方が耐久性が高い傾向です。

弾性回復力(元に戻る力)に優れているのでシワになりにくく、洗濯で縮んだり型崩れしにくいです。

ウールは天然繊維のため害虫・虫食いの被害に遭いやすいので保管に注意が必要ですが、アクリルはウールに比べて保管が簡単です。

アクリル繊維・素材、化学繊維が害虫、虫食いの被害に遭いにくいといっても汚れがついていると害虫、虫食いの被害に遭ってしまいます。

 

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3.アクリル繊維・素材のデメリットとは?

アクリル繊維・素材には安価でウールような
風合いを出す良いメリットもありますがデメリットもあります。

 

◇ アクリル繊維・素材のデメリット

①.毛玉(ピリング)ができやすい

②.吸水性・吸湿性が少ない

③.静電気がおきやすい

 

①.毛玉(ピリング)ができやすい

アクリル繊維・素材などの合成繊維を使った服は摩擦によって毛玉(ピリング)ができやすいというデメリットがあります。

日常生活での手や足の動き、洗濯によって生地の表面が擦れ合うことで繊維が起毛し絡み合い毛玉(ピリング)になってしまいます。

特に毛玉ができやすい部分は脇の下、袖の内側、背中、股下、お尻、太もも部分は擦れることが多いので毛玉ができやすい箇所です。

服同士の摩擦だけでなくリュックサックやショルダーバックなどの服とカバンの摩擦によって毛玉になることもあります。

毛玉(ピリング)はアクリル、ポリエステルといった丈夫な繊維・素材では出来にくいと思っている人も居ますが、アクリル、ポリエステルでも毛玉(ピリング)は出来ます。

ウールやシルク、コットン、リネンなどの天然繊維は毛玉が出来ても自然にとれることもありますが、アクリル繊維などの合成繊維は毛玉(ピリング)になってしまうと自然に落ちにくいです。

毛玉になってしまった場合は毛玉とりなどで自分で処理すると服に穴を開けてしまう可能性もあるのでクリーニング店に依頼するのがおすすめです。

 

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②.吸水性・吸湿性が少ない

アクリル繊維・素材は水を吸い取る吸水性や湿気を吸い取る吸湿性が少ないデメリットがあります。

水をほとんど吸わないのでアクリル繊維・素材のニットなどを着て汗をかいてしまうとベタついてしまい着心地が悪いです。

アクリル繊維・素材の服を着る場合は吸水性・吸湿性のあるインナーを着ることをおすすめします。

 

③.静電気がおきやすい

アクリル繊維・素材は静電気が発生しやすいというデメリットがあります。

素材はプラスの電気、マイナスの電気を持っており、静電気はプラスの電気とマイナスの電気を持つ素材がこすれ合う摩擦によって発生します。

素材によって電気の帯び方が変わり、アクリルはマイナスの電気をもつ素材です。

冬場にプラスの電気を持つ素材とマイナスの電気を持つアクリル繊維をコーディネートしてしまうと摩擦によって静電気が発生します。

プラスの電気とプラスの電気、マイナスの電気とマイナスの電気といった同じ性質のものなら静電気は発生しにくいです。

静電気を抑えるにはコーディネートの組み合わせが重要です。

 

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4.アクリル繊維とウールの違い

アクリル繊維はウールに近い性質ですが「着心地」、「価格」、「取扱い」がウールとどのような違いがあるかをご紹介します。

 

①.着心地はどう違う?

アクリル繊維・素材とウールの着心地を比べた場合、ウールは天然繊維ならではの手触り、滑らかさがあり、アクリル繊維・素材はウールほどの滑らかさ、柔らかさがない傾向です。

ウールは吸湿性、抗菌、消臭効果があるので蒸れたり汗冷え、静電気が起きにくいです。

最近のアクリル繊維・素材も肌触りが良くなっていますが、柔らかい、滑らかさ、吸湿性などの着心地を求めるならウールの方がおすすめです。

アクリル繊維・素材はセーターなどのニット製品に使われることが多いので暑がり、汗かきの人は暑く感じやすいです。

暑がり、汗かきの人は夏は涼しく、冬は暖かい吸湿性のあるウールのニットの方が快適です。

 

②.価格は違う?

アクリル繊維・素材を使った服とウールの服を比べるとアクリル繊維・素材の服の方が安い傾向です。

天然繊維のウールは着心地が良いですがコストが高いので価格が高くなる傾向です。

そのためアクリル繊維・素材とウールの服の価格は違います。

アクリル繊維・素材は鮮やかな染色がしやすく、丈夫で長持ちし、ウールは深みの色合いも良いですが洗濯で縮んだり天然繊維のため虫食い、害虫の被害に遭うことがあります。

鮮やかなセーター、丈夫で長持ち、低価格で保温性があるセーターなどが欲しい場合はアクリル繊維・素材のセーターがおすすめです。

 

③.取扱いの違い

アクリル繊維・素材とウールはどちらも洗濯や干し方に注意しなければ毛玉や縮み、伸びなどのトラブルが発生してしまうことがあります。

ウールに比べてアクリル繊維・素材の方が虫食い・害虫の被害に遭うことが少ない傾向なので取扱いはアクリル繊維・素材の方が若干マシなのではないでしょうか。

アクリル繊維・素材は縮んだりすることは少ないですが洗濯機で洗濯すると毛玉や型崩れすることがあります。

毛玉や型崩れが心配な人はクリーニングに出すことがおすすめです。

洗濯機で洗う場合は洗濯表示をしっかりと確認した上で毛玉防止のため裏返しでネットに入れてオシャレ着用洗剤でドライコースなどの優しく洗うコース。干す時は伸びてしまわないように平干しをするようにしてください。

 

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5.まとめ

アクリル繊維・素材はウールに似た風合いを持つ合成繊維なため、セーター、ニットなどのウールの代替え繊維・素材として使われています。

アクリル繊維・素材を使うことで着心地はウールには劣るものの価格が抑えられるのでファストファッションなどで冬場に多く使用されています。

低価格でウールに近い風合いのセーターなどの製品を手に入れるメリットがあります。

取り扱いはアクリル繊維・素材、ウールもどちらも注意が必要ですがアクリル繊維・素材の方が丈夫で保管も楽なので長く使いやすい傾向です。

アクリル繊維・素材は静電気や吸湿性、毛玉などのデメリットもありますが、ウールの虫食いや価格が気になる人はアクリル繊維・素材の製品を試されても良いのではないでしょうか。

全ての繊維・素材にはメリット・デメリットの特徴があります。

メリット・デメリットを知っておくことは日々の買い物、生活、コーディネートの役に立つ便利な知識です。

今回ご紹介した内容が皆様の参考になれば幸いです。

 

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