せっかくスーツを買うなら少しでも長く着たいと思う方が圧倒的に多いです。
買ったスーツがすぐボロボロ、型が崩れ、パンツが傷むとショックです。
人によっては値段が高いスーツを買ったのにすぐダメになったと嘆く人もいます。
スーツには長持ちしやすい生地、作り、素材、着方があります。
丈夫なスーツを買いに行ってもスーツ売場には沢山スーツがあってどれが丈夫なスーツなのかなんてわからない方が多いと思います。
そんなスーツでお困りの方に丈夫なスーツの探し方をご紹介したいと思います。
スーツの生地の種類
スーツ生地は産地によって特徴があり、大きくイタリア製生地、イギリス製生地、国産生地に分かれます。
この中でも1番丈夫な生地と言われているのがイギリス製の生地になります。
それぞれの生地の特徴をご紹介します。
イギリス生地
イギリス製の生地はイタリア生地と比べてしっかりと織られてるものが多いため、シワになりなくく、生地にハリとコシがあります。
生地にハリとコシがあるのでスーツが出来上がった際、仕立て映えしかっちりとした印象になります。
イギリス製生地は「経・緯双糸」の生地が多く、打ち込みの本数も多いため(織りの密度)ハリとコシがある生地を実現しています。
専門的な話になりますが、スーツ生地を構成する糸には単糸と双糸があります。
単糸は紡績されたままの糸で、撚りが一度かかっている一本の糸のことです。
双糸は二本の糸を撚ることで一本の糸にした糸のことです。
双糸は単糸に比べると強度は2倍以上になると言われています。
さらに双糸で撚りが強い強撚糸は丈夫な糸になります。
経糸・緯糸双糸の生地は生地を構成する糸が全て双糸のため耐久性が出てハリがある生地になります。
仕立て映えし耐久性もありますがデメリットもあります。
「経・緯双糸」はカッチリとした印象になり、生地自体も若干固めになります。
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イタリア生地
イタリア製の生地は光沢感と色の発色が美しく、イギリス製生地に比べて手触りが滑らかで柔らかい風合いが特徴です。
イタリア製生地はお洒落な雰囲気があり、人の目をひきやすいので男性、女性ともに人気があります。
イギリス製生地は「経・緯糸双糸」の生地が多く、打ち込みの本数が多いとご紹介しました。
イタリア生地は単糸と双糸の交織が多いです。(単糸、双糸どちらも使っている)
またイタリア製生地は打ち込み本数も少ない生地が多いです。
単糸を使用し打ち込み本数を少なくすることで生地に艶が出て柔軟で滑らかな仕上がりになります。
しかしデメリットもあります。
イタリア製生地はイギリス製生地に比べると単糸を使用し、打ち込み本数が少なくしているため耐久性が劣るものが多いです。
特にジャケットよりもパンツの方が傷むのが早く、パンツ生地ではイギリス生地が人気があります。
国産生地
国産生地はイギリス製生地に近い生地が多いです。
これは日本には四季があるためです。
例えば梅雨の時期など湿気が多い時期ではイタリア製の細番手の柔らかい生地だと湿気を含んで、縫い目の箇所などボコボコになりやすく、仕立て映えはしません。(もちろん縫製にもよります。)
国産の生地は時期にあった生地を提供していますが、どちらかと言えばしっかりとした生地が多いです。
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スーツの糸の太さ
イギリス、イタリア、国産の生地の特徴をまとめました。
丈夫な生地を選ぶポイントとしては「経・緯双糸」のつぎに糸の太さも重要です。
スーツを買いに行った際、販売員の人から「このスーツはSuper120の生地ですので、良いスーツです」など聞いたことはありませんか?
このSuper表示というのは「重量が1kgで120kmの長さの単糸を作ることができる原毛を使用」という意味です。
Super表示の数字は上がっていくほど細くて繊細な糸になります。
Super表示の高いスーツは柔らかく艶が良いメリットもありますが、耐久性には劣ります。
それでは「Superいくらのスーツがいいのか」と疑問に思われると思います。
探されてるスーツの目的によって変わるので、どの数字が良いとは言えませんが、丈夫なスーツをお探しの方にはSuper表示が高いスーツは不向きになります。
次に糸の太さについてご紹介します。
スーツを買いに行った際に販売員さんから「この生地は細番手で柔らかいから良いですよ」などと言われたことがありませんか?
番手とは糸の太さのことです。
番手が大きくなれば糸は細くなります。
細番手
細番手のスーツは生地に上品な艶・光沢感が出やすく手触りとして柔らかく、着用すると軽いのが特徴です。
これだけを見れば、非常に良いと思われます。
しかし糸が細いということはその分シワになりやすく、繊細で耐久性が低くなり仕立て映えしにくいです。
丈夫な生地を探されてる方には不向きになります。
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太番手
糸が太いと細番手とは反対に光沢感が出にくく、手触りもしっかりとしています。
しかしシワになりにくく、細番手に比べれば丈夫で、仕立て映えもしやすいです。
丈夫な生地を探されるならば太番手がおすすめです。
細番手と太番手の特徴をまとめさせて頂きました。
生地は一長一短ですので、Superいくらが良い、細番手、太番手どちらが良い生地とは言えません。
自分の目的によって生地を選ばられたら良いです。
スーツの作り
丈夫なスーツや破れにくい生地についてご紹介しました。
次にスーツを長持ちさせるには骨格である上着の芯地も重要です。
仕立てが良くないとクリーニングに出した後や湿度の変化、着用回数による型くずれを起こしやすいです。
一度型くずれを起こしてしまうと元に戻すのは難しいです。
スーツの上着、ジャケットの型くずれを予防するには毛芯を使用されているものをおすすめします。
スーツの上着、ジャケットの表地の下に使われる芯地は接着芯、総毛芯(フルキャンパス)、半毛芯(ハーフキャンパス)に分けられます。
芯地とは表地と裏地の間にあるスーツを支える素材です。
接着芯
価格が安いスーツに使用されることが多く、表地と芯地をノリで貼り付けています。
接着芯は価格を抑えられるメリットはありますが、何度かクリーニングに出していると型崩れを起こしやすいです。
総毛芯仕立て(フルキャンパス)
総毛芯仕立て(フルキャンパス)は利点が多い伝統的な手法です。
台芯、肩増芯、胸増芯の三層かその三層にフェルト芯を加えた四層で積み上げたものです。
総毛芯仕立て(フルキャンパス)で仕立てたスーツは型崩れしにくく、スーツに立体感が生まれ、見た目が上品で美しい印象になります。
また着やすさもあります。
接着芯に比べて工程数が多くなり時間がかかるので、総毛芯仕立て(フルキャンパス)は値段が高くなります。
半毛芯仕立て(ハーフキャンパス)
半毛芯仕立て(ハーフキャンパス)は総毛芯仕立て(フルキャンパス)と接着芯の良いところを利用した仕立て方法です。
例として衿と肩周りは総毛芯の作りをして、比較的に影響を受けにくい前身の下部分は接着芯を使用する方法です。
総毛芯仕立て(フルキャンパス)に比べて工程数も少なくなるため、価格が抑えられます。
芯地は総毛芯が優れていますが用途によって半毛芯仕立て(ハーフキャンパス)や接着芯を使用する場合があります。
総毛芯仕立ては耐久性に優れていますが、重さがあります。
ジャケットの軽さを最重視するため接着芯を使用したり、スーツの表地の素材にシルクが入っている場合には半毛芯仕立て(ハーフキャンパス)にすることがあります。
型くずれやスーツを長持ちさせるなら総毛芯仕立てがおすすめです。
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スーツの素材
スーツの素材ではウール100%やウールとポリエステルの混紡素材などがあります。
ウール100%やウールとポリエステルの混紡素材はどちらもメリット、デメリットがあります。
ウール100%のメリット
・冬は暖かく夏は涼しい
・ホコリが付きにくく静電気が起きにくい
・型くずれやシワになりにくい
・シワになってもスチームで回復できる
・高級感がある
ウール100%のデメリット
・虫食いが起こる可能性がある
・毛玉ができやすい
・水の影響を受けやすい
ウールとポリエステルの混紡素材のメリット
・シワになりにくい
・強度に優れている
ウールとポリエステルの混紡素材のデメリット
・ホコリが付きやすく静電気が起きやすい
・毛玉ができやすい
・高級感が出にくく、安っぽい印象
ウール100%素材とウールとポリエステルの混紡素材のメリット、デメリットをご紹介しました。
どちらが良いのかは目的によって変わってきます。
ウールとポリエステル素材は耐久性はありますが安っぽい印象になります。
ウール100%は高級感があるので、丈夫な生地を求められるならウール100%の「経・緯双糸」の太番手の素材をおすすめします。
長持ちさせるスーツの着こなし
丈夫な素材、破れにくい素材、長持ちする仕立てのスーツを選んでも着方が悪ければすぐボロボロになってしまいます。
スーツが破れる原因は一概に言えません。
よくある原因
・サイズが合っていない(体に合っていない細身を着ている)
・ポケットに物を詰め込んでいる
・連続着用している
・クリーニングに出し過ぎている
・綿パンやジーンズのように履く
上記のような着方、履き方をしていると耐久性があるスーツであってもパンツの破れや型くずれに繋がります。
スーツを長く着るには大切に着るのが重要になります。
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価格が高いスーツは破れにくいの?安いスーツは破れやすいの?
値段が高いスーツは破れにくいと思っている方がいますが値段=耐久性が高いということではありません。
値段が高いと上記でご紹介したように作りがしっかりしているので、着やすさや長持ちはしやすくなります。
しかし生地がデリケートであれば値段が高くても破れは発生します。
価格が高いスーツほどデリケートな素材を使っている物が多いです。
上記でご紹介したSuper表示が高いものやウールとシルクの混紡素材など。
デリケートな素材ほど綺麗に仕立てるのが難しいのです。
またサイズ選びによっても左右されます。
極端に細いスーツを着ていれば、縫製がしっかりしていても縫い目に負荷がかかり破れやすくなります。
安いスーツだから破れやすいと思っている方もいますが一概に破れやすいとは言えません。
確かに価格が安ければ価格に見合った生地、仕立てになります。
しかし安い生地はウールとポリエステルの混紡素材などで耐久性があったりします。
そのため価格が高いから破れにくいということではありません。
丈夫な生地、破れにくい、長持ちするスーツを探すなら生地から仕立てまでこだわることが重要です。
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まとめ
・丈夫な生地を探すなら「経糸・緯糸双糸の太番手」
・イタリア製生地よりイギリス製の生地がしっかりしている
・スーツを長持ちさせるなら総毛芯仕立て(フルキャンパス)
・スーツは適正サイズで綺麗に着る
・価格が高いから耐久性が高いわけではない
・生地や仕立てにはメリット、デメリットがあるので着用目的によってメリット、デメリットは変わる
◇身体にフィットするオーダースーツ専門店<KASHIYAMA>もおすすめ
<KASHIYAMA>とはオンワード樫山が展開するオーダー専門店。
バリエーション豊富の生地からオーダーすることができます。
オーダーと聞くと「高いのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
スーツではおおよそ¥33,000円からオーダーが可能。
ジャケットでは¥16,500円ほど〜とリーズナブル。
オーダーだと納期は3週間や1ヶ月と既製品よりも時間がかかってしまいますが、業界最速の一週間の納期。
価格、納期の面から再購入率が60%と高いリピート率で人気オーダー専門店です。
いかがでしたでしょうか。
丈夫な生地、破れにくい生地、長持ちするスーツの作りや着方をご紹介しました。
丈夫な生地を探されるのであればイギリス製生地など番手の太めのスーツを探されると良いと思います。
丈夫な生地で仕立てた良いスーツは綺麗に着用すれば何年も着用することができます。
安いスーツを何着も買うよりも圧倒的に良いです。
今回ご紹介した内容が皆様の参考になれば幸いです。
スーツは絶対に生地だけで選んではいけない。後々後悔しない長く着るためのスーツの買い方。