冬場になると高級素材としてセーター・コート・マフラーに使われる「カシミヤ素材」。
セーター・コート・マフラーを買いに行くと販売員から、
(セーター・コート・マフラー)
「カシミヤ素材だから良いですよ」
と言われたことがありませんか?
なんとなくカシミヤ素材は良いということは知っているが、
何故良いのか?
人気があるのか?
価格が高いのか?
詳しく知らないという人も多いと思います。
カシミヤ素材についてご紹介します。
1.カシミヤ素材とは?
そもそもカシミヤは何の動物から採れるのかを知らない人もいます。
カシミヤ素材はカシミヤ山羊から採れる獣毛素材です。
(獣毛素材はウールを除いた動物繊維。アンゴラ・キャメル・モヘヤなどがあります。)
動物の毛には上毛と言われる「刺し毛」と下毛と言われる「綿毛」で構成されています。
上毛は身体を守る役目、下毛は上毛の下に生えている短く細い毛、「うぶ毛」のような毛です。
下毛は体温の発散を防ぎ防寒に優れています。
ニット・セーター・コート・マフラーといった私達が使う製品ではカシミヤ山羊の下毛、「うぶ毛」部分を使用しています。
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2.カシミヤ素材はなぜ人気なのか?
カシミヤ素材を使ったニット・セーター・コート・マフラーは人気があるのは皆様ご存知だと思います。
カシミヤ素材の特徴を知ると人気の理由がわかります。
◇カシミヤ素材の特徴
カシミヤ素材を使ったニット・セーター・コート・マフラーは一般的なウールと比べて、「保温性があり」、「軽さがあり」、「肌触りが良く」、「上品な艶」があります。
ウール素材の製品とカシミヤ素材の製品を比べると差がわかりやすいです。
◇カシミヤは何故暖かいのか?
カシミヤは暖かいと言われますが何故暖かいのかをご紹介します。
カシミヤの暖かさは「繊維の細さ」と「熱伝導率の低さ」が暖かさに関係しています。
カシミヤ他の動物繊維やウールと比べて繊維が細いです。
ウールや他の動物繊維とカシミヤで一本の同じ太さの糸を作った場合、カシミヤは繊維が細いため、同じ太さであっても一番繊維の量が多いです。
繊維の量が多いと暖かい空気を多く含むため暖かいのです。
カシミヤの繊維自体、熱伝導率がシルクや綿などの素材と比べて低いです。
熱伝導率とは「どのくらい熱を伝導しやすいかを表している量のこと」です。
熱伝導が低いカシミヤ素材は体温を逃がさず、外気の冷たい空気が体温を奪うのを防いでくれるので暖かいのです。
◇カシミヤは何故軽いのか?
カシミヤの繊維で作られた製品は軽さがあります。
カシミヤ素材は上記でご紹介したように繊維が細いため「軽さ」があります。
カシミヤの繊維の細さはおおよそ13.5〜16.5マイクロン。
一般的なウールはおおよそ20マイクロンほどです。
ウールと比べて繊維の細さがお分かりになると思います。
繊維の細いカシミヤを束ねて糸に仕上げ、その糸を使うためカシミヤの製品は「軽く」・「柔らかく」なります。
◇何故手触りが良いのか?
ニット・コート、何でも構いませんが、カシミヤ素材を使った製品は非常に手触りが良いと感じたことがあると思います。
カシミヤ素材は何故手触りが良いのか?
カシミヤの手触りの良さは上記で触れた
・繊維の細さ
・キューティクル
・油脂
の3つが優れているため「滑らかな上質な手触り」を生み出しています。
羊毛に比べて繊維が細いカシミヤは柔らかく、しなやかで肌を刺激しません。
キューティクル(繊維表面のスケール)もまばらで小さいため皮膚を刺激しません。
繊維が太い、繊維表面のスケールが大きいとチクチクと皮膚刺激の原因となります。
カシミヤ素材の表面には油脂が繊維を覆っています。
油脂分がカシミヤ独特の「ヌメリ感」を生み出しています。
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◇何故上質な艶・光沢感があるのか?
カシミヤ素材を使った製品は高級感ある艶・光沢があります。
カシミヤの高級感ある艶は「キューティクル」によって生み出されています。
キューティクルとは繊維表面を覆っている部分。
根元から毛先に向かってウロコ状に一列に並んでいます。
カシミヤのキューティクルはウールと比べて、綺麗なキューティクルです。
ウールのキューティクルは数も多く複雑なため、カシミヤのように綺麗ではありません。
カシミヤとウールを比べると手触りが全然違います。
人間の髪の毛を想像するとわかりやすいです。
キューティクルが綺麗な人は髪の毛に艶があり滑らか。
キューティクルがない人は髪の毛に艶がなく手触りも悪いです。
カシミヤは上記でご紹介した理由のため「保温性」・「軽さ」・「手触りの良さ」・「上品な艶」の特徴があるため、冬場に抜群の人気を誇ります。
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3.カシミヤは何故値段が高いのか?
カシミヤ素材は非常に貴重なため、カシミヤ素材を使った製品は価格・値段が高いのです。
カシミヤは1頭から年間どれくらいの量が採れるかご存知でしょうか?
おおよそですがカシミヤは年間1頭からたったの「200g」しか採れません。
ウールはおおよそ年間一頭から「20kg」。
地域や品種によって差がありますが、おおまかに言うとカシミヤはウールの「100分の1」しか採れない貴重な素材なのです。
上記でもご紹介しましたが私達が使っているカシミヤ製品には「うぶ毛」が使われています。
採取した「200g」の原毛にはゴミや硬い毛などの「不純物」と「うぶ毛」が混じっています。
そのため「200g」が全て使えるわけではありません。
採取された原毛は「不純物」と「うぶ毛」とを分ける「整毛工程」がおこなわれます。
そのため200gからさらに少なくなってしまいます。
セーターを一枚作るのにおおよそ2頭・3頭のうぶ毛が必要と言われています。
カシミヤは採れる量が少なく貴重なため、カシミヤ素材を使った製品は値段・価格が高くなります。
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4.カシミヤの等級・ランク
カシミヤには等級・ランクがあります。
カシミヤ山羊から採取した直後は上毛と下毛が混じっており、上毛・ゴミなどの「不純物の混入率」・「繊維の長さ」・「繊維の細さ」によって等級・ランクが変わります。
等級・ランクは1等級〜9等級まであり、製品に使われるカシミヤの等級・ランクによっても価格が違います。
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5.カシミヤのお手入れ・着用方法
カシミヤ素材を使ったニット・セーター・コート・マフラーは暖かく、軽さがあるため「着心地が良い」です。
しかしお手入れ・着用方法を間違うとせっかくのカシミヤ製品が台無しになってしまいます。
カシミヤ製品を少しでも長持ちさせるには日々のケアが大切です。
◇カシミヤ製品のお手入れ・着用方法
■ブラッシング
着用すると目に見えないホコリ・ゴミが付着してしまいます。
付着したホコリ・ゴミを放置すると虫食いの原因にもなるので、着用したら必ず天然繊維のブラシで汚れを落とし毛並みを揃えるのが大事です。
■連続着用しない
スーツと一緒で同じ製品を連続で着用すると傷みの原因になってしまいます。
カシミヤ製品を長持ちさせるには一日着たら必ず日にちを開けて着用するようにしてください。
■湿気をとる
着用したら風を通して湿気をとるようにしてください。
■クリーニングは控える
カシミヤは素材の性質上、水に強くありません。
カシミヤの表面には天然の油脂が含まれているので、クリーニングに出してしまうと独特のヌメリ感や風合いを損なうことがあります。
◇カシミヤ製品を汚してしまったら
汚れやシミは気を付けていてもうっかり付けてしまうことがあります。
そのため自宅での簡単な落とし方をご紹介します。
手順①.タオルを敷きます。
手順②.タオルと汚れた表面部分を重ねます。
手順③.水で濡らした硬くしぼった綺麗な布でたたきます。
手順④.落ちない場合は製品に沿った洗剤を使用。
(色落ち、風合いの変化、生地を傷める可能性があります)
洗剤を使う場合は目立たない部分でテストしてからするようにしてください。
手順⑤.汚れが下のタオルに全て移せれば終了です。
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カシミヤ素材は何故人気があるのか?、何故値段・価格が高いのか?をご紹介しました。
カシミヤ素材は上記でもご紹介したように貴重な素材のため値段・価格が高いです。
しかしカシミヤ素材を使った商品は着心地が非常に良いです。
お手入れを気を付けていれば長く使えるので、カシミヤ製品をお持ちでない人は愛着の持てるカシミヤ素材の製品を持たれてみてはどうでしょうか。
今回ご紹介した内容が皆様の参考になれば幸いです。