ビジネスシーンで相手に与える第一印象は、わずか数秒で決まると言われています。
特に首元のネクタイは、顔に近い位置にあるため、印象を大きく左右します。
その中でも、ネクタイの結び目にできる小さなくぼみ **「ディンプル」** は、プロのような洗練された雰囲気を演出する重要なテクニック。
しかし、「ディンプルってそもそも何?」「どうやって作るの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
スーツ販売歴15年以上の筆者が、ディンプルの基礎知識から作り方、シーン別の使いこなし方までをご紹介します。
ネクタイをするビジネスマンでディンプルを作っていない人は、参考にしてください。
ディンプル(ネクタイのくぼみ)とは?
■ディンプルの意味と由来
ディンプルとは、ネクタイの結び目のすぐ下にできる小さなくぼみ(しわ)のことを指します。
英語で “dimple” は「えくぼ」の意味を持ち、その形が笑顔のえくぼに似ていることから名付けられました。
本来は意図して作るものではなく、ネクタイを結ぶ際に自然にできる場合もありますが、現代のビジネスファッションでは、あえて綺麗なディンプルを作ることが「着こなし上級者」の証とされています。
なぜビジネスシーンで重要視されるのか?
ビジネスシーンでは、第一印象の数秒で相手への信頼感や存在感が決まります。
ディンプルがあるネクタイは立体感が増し、結び目が引き締まって見えるため、全体の装いにメリハリを与えます。
対面営業やプレゼン、商談などでは、ネクタイのディンプルが「きちんと感」を強調し、細部まで気を配る人物として好印象につながります。
ディンプルが与える印象と心理的効果
■仕事ができそうに見える理由
ディンプル入りのネクタイは、ただ結ぶだけのネクタイよりも構造的に整って見えます。
これにより、相手は「身だしなみが整っている=段取りや準備もできる人物」というポジティブな連想を持ちやすくなります。採用面接や新規取引先との初対面では、有利に働く可能性があります。
■清潔感・信頼感・誠実さの演出
ディンプルが作られたネクタイは、余計なシワやヨレが目立たず、スーツ全体に清潔感をもたらします。
この「清潔感」は信頼感や誠実さにも直結し、「この人に任せても安心」という印象を強めます。特に金融、不動産、コンサルティングといった信頼重視の業界では効果的です。
海外ビジネスマンのディンプル活用例
欧米のビジネスマンや政治家の多くは、ディンプルを意図的に作っています。これは単なるおしゃれではなく、自信やプロフェッショナリズムを象徴するサインとして広く認識されているためです。
プロが教える!美しいディンプルの作り方
■必要なネクタイの素材と形
美しいディンプルを作るには、**シルクや高品質なポリエステル**など、適度なハリと柔らかさを持った素材が適しています。
厚すぎる生地は折り目が固くなり、深みのあるディンプルが作りにくくなります。
形は**レギュラー幅(8cm前後)**が扱いやすく、ビジネスシーンにも合わせやすいでしょう。細すぎるナロータイはディンプルが浅くなりやすい点に注意しましょう。
ディンプルを作る手順
1. **結び目を作る直前に中央をつまむ**
大剣の中央にくぼみを意識して指でピンチします。
2. **結び目を作る際も形を保つ**
交差から結び目を締める瞬間まで、指で軽く押さえて形を固定します。
3. **結び目を締めながら整える**
ディンプルの奥行きと左右のバランスを整え、深く立体的になるよう調整します。
よくある失敗とその対策
- **ディンプルが浅い** → 素材選びを見直し、もう少し柔らかめの生地を使用。
- **左右非対称になる** → 結び目を締める前に中央の位置を確認し、バランスを意識。
- **形がすぐ崩れる**→ 結び目をきつめに締め、首元とのフィット感を高める。
シーン別・ディンプルの使い分け
■就活・面接・プレゼンでの適切な形
フォーマルなビジネスシーンでは、**深すぎないシングルディンプル**がおすすめです。
左右対称かつ中央に位置することで、誠実さや清潔感を演出できます。
ネイビーやボルドーなど落ち着いた色と組み合わせると好印象です。
■カジュアルデーやパーティーでの応用
ビジネスカジュアルやパーティーでは、**ダブルディンプル**で華やかさを演出。
立体感が増し、ファッション性をアピールできます。
柄物や明るい色のネクタイと組み合わせれば、程よい遊び心が加わります。
ディンプルを避けた方が良い場面
葬儀や弔事などのシーンでは、ディンプルは避けるのがマナーです。
フラットな結び目にすることで、控えめかつ落ち着いた印象を与えます。
ディンプルを活かすネクタイの選び方
■柄や色との相性
ネクタイのディンプルを美しく見せるためには、柄や色の選び方が重要です。
無地や細かいドット柄のネクタイは、ディンプルの陰影を際立たせ、上品で立体感のある印象を与えます。
一方、大きな柄や派手な色合いはディンプルが目立ちにくくなる場合があります。
ビジネスシーンでは、紺・グレー・ボルドーなど落ち着いた色味をベースに、シャツやスーツとの調和を意識すると好印象を与えられます。
■季節ごとの素材選び
季節に合わせた素材選びも、ディンプルの形を長時間キープするポイントです。
春夏はシルクやコットン混など軽やかな生地で爽やかさを演出。秋冬はウール混や厚みのあるシルクで、結び目のボリュームとディンプルの深みを強調します。
素材の特性によって結びやすさや仕上がりが変わるため、季節感と質感のバランスを取ることが、首元から格上げする秘訣です。
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スーツ販売歴15年以上の筆者が、ディンプルの基礎知識から作り方、シーン別の使いこなし方までをご紹介します。
ディンプルはネクタイの結び方の中でも、わずかな工夫でビジネスの印象を格段に高められるテクニックです。
柄・色・素材を吟味し、季節やシーンに合ったネクタイを選ぶことで、ビジネスパーソンとしての信頼感や清潔感がアップします。
スーツスタイルの完成度を高めたいなら、「ネクタイのディンプル」にこだわることから始めましょう。
まだディンプルを作ったことがない人は実践してください。今回ご紹介した内容が皆様のお役に立てば幸いです。